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【イケメン革命】お茶会をご一緒しませんか?〜短編集〜

第1章 あまいアフタヌーンティーはいかが?



コンコンッーー

「はーい」
軽快なノック音のあと、アリスの元気な声が響いた。
ガチャッとドアが開かれると、そこには嬉しそうな笑顔を浮かべたアリスがいた。
「ゼロ!いらっしゃい!」
「悪い。待たせたか?」
「ううん。今ちょうど紅茶の用意が出来たところだよ」

アリスに促されふかふかのソファーに腰掛ける。
「ああ、そうだ。
よかったら一緒に食べようと思ってケーキを持ってきたんだった。シェフに頼んだらすごく張り切って作ってくれたんだ」
持ってきた小さな箱からチョコレートで全体をコーティングされた可愛らしいケーキを2個取り出す。そのケーキの上には飴細工のようにチョコレートで固めたハートがついており、周りに金箔のようなものが散りばめられていた。

「わぁ、すごく可愛い!なんだか食べるのがもったいなくなっちゃうね」
アリスは顔を輝かせながらケーキをまじまじと見つめた。そして崩さないようにそうっとお皿に盛り付ける。
「ありがとう、ゼロ。早速いただくね」
そう言うと、フォークで小さく切ったケーキをパクリと頬張った。
「ーー〜〜〜〜っっ!!!」
アリスは大きな瞳を更に大きく見開き、薄っすらと紅潮する頰に手を当て、全身で『美味しい!』と伝えているようだった。
「くくっ、おまえの口に合ったようでよかった」
ゼロは温かい紅茶を飲みながら、愛おしそうにアリスを見つめた。

二人のお茶会はゆったりとしたものだった。
アリスは終始楽しそうにこの一週間であった出来事を話してくれた。

(アリス…またこうしておまえと過ごせるとは思わなかったな)

以前はアリスと共に過ごすたび、別れの時がよぎって身を切られるような寂しさを感じていた。それが今は、この何でもない時間がこれからずっと続く…続けてもいいのだという安心感に包まれ、ゼロはただただ幸せを噛み締めていた。

「…そろそろ、午後の訓練の時間だ」
楽しい時間はあっと言う間にすぎて、気付けば仕事に戻らなければならない時間が迫っていた。
「あっ…もうそんな時間…」
アリスは一瞬寂しそうな表情を浮かべた。

「悪い…。また逢いにくるから、そんなに寂しそうにしないでくれ」
自分自身も寂しい気持ちを押し込め、苦笑しながらアリスの頭をそっと撫でた。
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