【イケメン革命】お茶会をご一緒しませんか?〜短編集〜
第3章 チョコレートをおひとつどうぞ
夕食後、早速シェフにお願いをして立派な台所を貸してもらった私は、用意していた材料を広げて何を作るか悩んでいた。
(無難にトリュフとか…?うーんでももっと凝った感じで…クラシックショコラとかガナッシュとか……)
本を眺めながらぶつぶつと呟きながら考えていると、ふと昼間カイルがメイドさんからもらったチョコが目にうつった。
「あ…材料と一緒に持ってきちゃったんだ……」
手に取った瞬間、とびっきりいい案が閃いた。
(そうだ!メイドさんはどんなチョコ用意したのか見せてもらおう!)
そう思いついた私は丁寧にラッピングを剥がして、そっと箱を開けた。
(わっ!可愛い)
箱の中には、茶色、白、ピンク、黄色…と色鮮やかなトリュフが綺麗に並んでいた。
「この茶色はココアパウダーだよね。あとは…チョコスプレー?凝ってるなーすごーい…」
まじまじと見つめていると味も気になってきて、一瞬ためらったものの一粒摘むとパクッと口に含んだ。
途端に口の中で甘さとほろ苦さが絶妙なバランスで拡がり、ナッツのような食感も感じる。
(何これ!すごく美味しい!)
トリュフはあっという間に口の中で蕩けてしまいもう一粒…と手を伸ばした時、急に身体の奥から熱が込み上げてくるような感覚を覚えた。
(…?なんだろ?お酒も入ってたのかな?)
特に気にする程酷くはなかったためもう一粒口に含むと、私は早速お菓子作りに取り掛かった。
なんとか数種類のお菓子が出来上がった頃ーーー…
身体の熱はさらに悪化しており、心臓がドクドクと脈打つたびに新たな熱が身体中を駆け巡っていくようだった。
(な、に…これ……絶対おかしい…)
胸元のシャツをグッと握った瞬間、カイルの顔が浮かんだ。
(カイル…カイル……助けて………)
熱い身体をぎゅっと抱きしめながら、私はカイルの部屋を目指して一歩一歩進んで行った。