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小さな死神

第3章 幸せが崩壊した時


「今帰ったぞー」

家の玄関を開けると、待ち構えたようにでてきた。

「いらっしゃい。桜花ちゃん!四番隊にお世話になったって言ったけど、昼間の虚が現れたことになにか関係あるの?怪我した?大丈夫?」

慌てた声で聞いてくる。

「大丈夫だよー!!海燕が守ってくれたから、何にも怪我してないの。」

桜花がニコリと笑う。

「そうよかった。ご飯出来てるわよ。ゆっくりしていってね。」

「うん!!ありがと!!」

教えたとおりきちんと靴を揃えて、桜花は家に上がった。

そしてたくさん食べて、たくさん喋って、たくさん遊んだ桜花は、今熟睡している。

「可愛いわね、桜花ちゃん。貴方が構いたくなるの分かる気がするわ。」

あいつが、桜花にタオルケットをかけながら言う。

「そうか?」

俺は窓側でタバコを吸う。

「ええ。もう桜花ちゃんが大好きで仕方がないんでしょ?別に隠さなくてもいいわよ。それとも気づいてないのかしら?」

「何言ってんだ。こいつはまだ子供だろ。」

「馬鹿ね。恋愛に年は関係ないものよ。」

あいつは笑いながら言う。

「安心したわ。桜花ちゃんなら、あなたを任せられるもの。」

「は?どう言う意味だそりゃ。」

それを聞くと、あいつの顔から笑みが消えた。

「・・・・私が長期任務に行かないといけないことは、知ってるわよね?」

「・・・・・ああ。本当は三席である桜花が行かないと行けなかったあの任務だろ。」

「そっ。貴方が必死で止めたその任務よ。桜花ちゃんの代わりに私が行くことになったの。実力の順で言うなら、桜花ちゃんの次は私だものね。」

「その任務がどうかしたのか?お前だったら十分にやれる任務だろ。」

「・・・・・嫌な予感がするのよ。とっても嫌な・・・・ね。こういうのって、いつも私当たるのよね。」

珍しいと思った。女が上に立つからと言って、俺にも弱音を見せないこいつが・・・・。

「大丈夫だ。心配することない。」

「ええ。」

あいつは、精一杯無理に微笑んだ。俺は、そんなあいつを優しく包み込み、そのまま甘い夜へといざなった。


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