第12章 連れ攫われた青い花

思えばこいつの動きは相手が人間以外で初めてその実力が、発揮されたのだった。空のときは知らないがこいつの性格上人を傷つけるのが無理で、人相手だとどうしても剣先はぶれるし、殺気も全くない。実力はあってもこいつの場合、殺ろうと思えば席官クラスのやつでも殺られてしまうだろう。そう思うとため息がでる。

俺はこいつに死んで欲しくないし、傷ついて欲しくもない。殺すために戦うのではなく、生きるために戦って欲しいと思ってしまうのは俺の偽善かもしれないが、それでもそれが俺の本心だ。

「…………さて、どうしようか。」

幸せそうに餡蜜の夢を見ている桜花を見て無性にげんこつをしたくなった。