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小さな死神

第12章 連れ攫われた青い花


そしてその後散々ダメ出しをし、めちゃくちゃ桜花をしごいた。最後の方は半べそかきながらも最初の方よりもいい動きにはなっていた。

「……………んー…………餡蜜たべるー」

今は疲れて何故か俺の膝で熟睡中。………あ、こいつ涎垂らしやがった!後でげんこつだな。そう思いながら俺は桜花の頬をつねる。

「むむっ。…………海燕にはあーげないもんね。」

不細工な顔で幸せそうに呟く桜花に思わず笑ってしまう。

………変わってねぇな。つくづくそう思う。蒼井空のときも小さい秋月桜花のときも大きい秋月桜花のときも、全部何一つとして違わないお前だった。

「そうそう、海燕。お前はまだ会ったことはないだろうがな。蒼井空っていう子がお前に会いたいそうだ。その子も100年に1人の天才と言われててなー。」

浮竹隊長の言葉をふと思い出した。俺は桜花になる前の蒼井空に会ったことはないが、噂には聞いていた。生まれながらの一番隊副隊長であの総隊長やあの四十六室のお気に入り。その青い容姿に綺麗な顔立ちは一時期は愛人だの魔女だの言われていたが、持ち前の明るさと気の良さにその噂は無くなり代わりに、誰が相手になるかついて噂がもちきりだった。そんな彼女に会いたいと言われて、胸が高揚したものだ。

「………100年に1人の天才が2人も出てる時点で可笑しいっすけどね。」

だが、照れくさかった俺はこう言うしか出来なかった。

それからすぐ" あの事件"が起こり、俺はとうとう蒼井空としての桜花と1度も合間見ることが出来ないのだった。
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