第12章 連れ攫われた青い花
☆☆~桜花side~☆☆
目を覚ますと何故か海燕の膝の上にいて、何故か海燕は怒ってるような悲しいような複雑な顔してげんこつを抑えていた。
「…わ、私…ま、またなにかした?」
とっさの反射で海燕から離れ頭を抑えると、海燕はため息をひとつつき、
「これから俺が消えるまで徹底的にお前を鍛えるから覚悟しろよ。」
とにっこりと怖い顔で言った。
「……は、はい。よ、よろしくお願いします。」
有無を言わせないその顔に私は頷くしかできない。
「じゃあ、早速行くぞ。これとあと4体倒すまで飯抜きな。」
そして、斬魄刀を抜く海燕。そして、出てきた人型の何か。…………ん?なんか………
「よし。こいつは甘く見積もっても5席の実力だ。見覚えは?」
「ある!なんか弓親っぽい!」
おかっぱの髪型にすらりとした体型。そして三つに分かれた斬魄刀を持つ。
「そうだ。まあ、まずはこいつからかな。いけ!」
海燕の合図で走り出す弓親っぽい何か。
「えっ!?ちょっ!?」
意外にも鋭い剣筋に戸惑ってしまう。
「馬鹿野郎!!さっさと攻撃せんか!」
そ、そう言われても…………。
目の前のその弓親っぽい何かは、どうしても本物の仲の良い弓親を思い出してしまいどうしても攻撃できない。
「その程度の覚悟で、お前は藍染惣右介を止めようっていうのか!?」
海燕が叫ぶその言葉にはっとなる。
「市丸ギンから聞いた。お前が秋月桜花として尸魂界に戻ってきた理由や後悔していること。」
……そうだ。私は後悔したんだ。だから……
「お前はまた後悔すんのか?藍染隊長を止められず、多くの犠牲者をまた出して。それをお前は止められる力を持っているのに!!」
……そっか。私はまた同じ間違いを犯すところだったんだ。傷つくのが嫌。傷つけるのが嫌。そんなんで戦おうなんて、止めようなんてできるわけないのにね。私また……逃げようとしてたんだ。惣右介から。自分から。
「………………」
そして目の前のそれを刀で真っ二つにした。倒れていくそれを見て、海燕の方を向く。
「……海燕。私もう迷わない。傷つくのも傷つけるのも嫌だけどそれよりも大切な仲間が死ぬのが嫌!空のとき出来なかったこと。今度は止めてみせるよ!惣右介を!!」
すると海燕は私の言葉に満足そうに微笑んだ。
「それじゃあ、どんどんいくからな。覚悟しろよ」
