第12章 連れ攫われた青い花
「…………そうか。俺がいない間にそんなことが…………」
あらかた話が終わると海燕は頭を抱え込む。
「さて、今度は海燕の番だよ。」
「そうだな。俺はあの虚に殺られた後、粒子となって消えたはずだった。だが、そのまま尸魂界の一部となったわけじゃなく、粒子のままここ虚圏に送られたんだ。」
「……なるほどね。そして、今のその体の持ち主、破面のアーロニーロに喰われたってことね。」
「ああ。だが俺の霊圧が強く、破面の強さの源となった。すると必然的に俺の力を使う度に『志波海燕』という存在も強くなっていく。結果的に俺という意識が消えることなく今に至るっていうことだ。まっ、さすがは俺ってことか。」
高笑いをする海燕。
「うわ…………こりゃ惣右介が手こずるわけだ」
「おい。それはどういう意味なんだよ」
「いやー別にー」
「……………桜花。今更でなんだが、お前藍染隊長……おっと今は元か………とはどういう関係なんだ?」
海燕の真剣な表情。それに少々の殺気も感じる。
「関係も何も友達だよ。」
「………それは目的が同じととっていいのか?」
さらに殺気が加わる。
「ううん。目的は全くの逆。私は戦争なんかして欲しくないし、王の座なんて欲しくないし。」
「そうか…………ところで、王の座?霊王のことか?」
海燕は私の言葉にほっとしたと同時に、私の言葉に首をかしげる。
「うん。惣右介が崩玉で勢力を造った後にすることは、まず王鍵を創ること。そして、それで霊王の元へ行くこと。 」
「…………そして霊王を殺して、自分が王になる……ってことか?」
「うーん。多分ね。惣右介昔っから完璧主義者なんだけど、飽きっぽいから」
「………………今の破面の実力は知ってるか?」
「うん。このままだと、御廷十三番隊は負ける。」
「…………負けるとはっきりは言えないだろ」
「ううん。惣右介が一番気にしてるのは重國。尸魂界で最も強いのも重國。だからその重國を封じるための策は既にとってあると思うの。さらに、十刃の破面たちは隊長二人がかりでも勝てるかわからない。計算すると惣右介たちの方が明らかに有利だよ」
だから負けると私は言った。
「…………………………」
絶句する海燕。
「…だけど、こっちには、一護がいる。一護がいることで、確率は分からなくなる。」
そんな海燕に私は言葉を続る。
