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小さな死神

第12章 連れ攫われた青い花


☆☆~惣右介side~☆☆

小さい頃、いつものように一人で散歩をしていると青い髪の変な奴がいた。そいつは、じっと木の上を見上げていた。

「・・・・・・何してんの?」

思わずそう尋ねたような気がする。そいつの髪はこの世とは思えない程あまりにも綺麗で、いつか読んだ本の中に出てきた天使とやらだと思った。

その頃色々なことにうんざりしていて、ここじゃないところに連れて行ってくれるなら地獄でもいいと思っていたから。

そいつは俺の方を見て、上を指さした。

「・・・・・・木の上に行きたいのか?」

そう聞くと頷くそいつ。

そいつの手を掴みどんどん上に登っていき、丁度子供が二人座れそうな枝の上に座った。

「・・・・これでいいのか?」

尋ねると、そいつは今までの無表情が嘘みたいな満面の笑顔をしてはしゃぎ始めた。

「すごーーい!!!上から見るとこんなになってるんだーー!!すごいね!!綺麗!!」

呆気にとられた。ここまで大声で叫ぶ人間は周りにはいなかった。だが、不思議とうるさいとは感じなかった。

「ねえねえ!私ね蒼井空っていうの。あなたは?」

「・・・・藍染惣右介」

「かっこいい名前だね!あ!!惣右介惣右介!!見てみてあそこ桜が咲いてる!!綺麗だねー」

正直桜なんかどうでも良かったけど、初対面でいきなり呼び捨てにするこいつが嬉しそうに俺の名前を言うから、人といるのもたまには悪くないと思ってしまった。

「おっ!!見てみて!月も出てきた!風流だね!桜に月なんて!!」

そして、月を見て少し後悔し始めた。天の使者は満月になると月に帰らなければならないということを本で見たことがある。こいつもきっと帰ってしまうだろうと。

「ん?惣右介、どうしたの?」

「・・・・・・お前もどこかにいってしまうのか?」

つい言葉に出てしまった。

「私はどこにも行かないよ?変な惣右介」

そしてそいつはにっこりと微笑んで手をギュッと握った。

その手はとても暖かくて、俺の目からは何故か暖かいものが流れていった。

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