第12章 連れ攫われた青い花
「さて、長く歩いて疲れたろ?少し眠るかい?それとも君のことだから、甘い物でも食べるかい?」
「・・・・・・・・甘い物がいい」
「今出させるよ。」
昔惣右介と一緒に見たおとぎ話に出てきたお城のようだというのがこの建物の感想。私がそう聞くと、惣右介は嬉しそうに微笑んだから、多分あってると思う。
惣右介は、近くに控えている破面に命じて洋風なコップに紅茶を入れてもってこさせ、その破面は次に団子ような、団子よりもすごく大きいものをもってきた。
「それはあんまんと言ってね、中にあんこが入った大きい団子と考えてもらっていい。食べてみたらどうだい?」
言われるように一口ぱくり。
・・・・・・お、おいしい!口に入れた時のふわっとした食感。噛む度に飽きることのないこの味。これは絶品の代物!無我夢中でそれをどんどん口に入れる。
「そんな風に喜んでもらえると私も探したかいがあったよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごくん。
さて、惣右介取引のことだけど・・・・・・」
惣右介の笑い顔をみて、少し恥ずかしくなった私は、今のことをなかったことにした。・・・・自分の中で。
「そんなに焦ることもないよ。これもいるかい?」
そう言って差し出したのは、なにやら洋風の食べ物。
「これはパンプキンパイと言ってね。かぼちゃ味付けのサクサクとしたものだよ。」
・・・・・・・・ぱく。・・・・・・・・ぱくぱくぱく。もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ!!!
夢中になって食べる。
「む?惣右介は食べないの?美味しいよ?」
私に美味しいお菓子を勧める割に、自分は全く手をつけず、にこにこしながら私が食べているのを眺める惣右介に私は尋ねた。
「私は甘いものはちょっとね。」
「でも惣右介、前これ美味しそうに食べてなかった?」
私は目の前のクッキーを指して言う。
「そうだね。じゃあ、それくれないかい?」
惣右介が口を開けて、それを指さしながら言ったので
「ん。どうぞ。」
私はそれを惣右介の口の中に入れた。
そして、お腹一杯になった私は少し眠くなってしまった。
「やっぱり疲れてたんだね。いいよ、おやすみ。いい夢を。空」
やっぱり私のことを" 空"という惣右介は、私の頭を撫でて呟いた。