第12章 連れ攫われた青い花
目的地は井上さんの家だった。中に入ると、既に部屋は死神たちでいっぱいいっぱいだった。
「・・・・みんな揃ったかの」
だが、井上さんの家を半分以上占めていたのは死神ではなく、大型のテレビ。そこには総隊長が映っていた。その後ろにも尸魂界にいる全隊長格が揃っている。
「それでは話を始めよう。先ほど軽傷を負った十二番隊隊員が命からがら逃げ出して、報告しにきたのじゃ。秋月桜花の裏切りをな。」
あたりがざわめいた。一人一人がそれぞれ何かを言い合う。
「静かにせい!!!!・・・・そして、現世に行った隊員の残る二名は・・・・・・虚化した秋月桜花によって殺されたと。」
「なっ!!!」
「虚化?虚化って・・・・・・」
聞きなれぬ単語に戸惑いを隠せない死神たち。
「おい!!そんなことねぇよ!!桜花がそんなことするはずかねぇ!!」
黒崎さんが叫ぶ。
「・・・・秋月桜花が望んでしたことではなかったら?」
「?」
「秋月桜花の内なる虚は危険な物じゃ。いつ暴走してもおかしくはない。浦原喜助からそのことは聞いておった。藍染惣右介もそこに目をつけたのじゃろう。」
「なっ!!そ、そんなこと・・・・」
「ないとはいいきれるか?よって、この時点から秋月桜花は藍染惣右介の仲間とみなす。みな心してかかれい。以上じゃ。」
「待てよ!!今頃藍染たちに酷いことされてるかもしれないだろ!?桜花は仲間じゃないのか!?そんな簡単に・・・・」
「脅威があれば切り捨てる。それが護廷十三隊じゃ。」
「なんだよそれ!じゃあ、俺が助けに・・・・・・」
「ならん。お主は仮にも死神代行じゃ。それに大きな戦力にもなる。こやつに手を貸すでないぞ。良いか、浦原喜助。」
「・・・・・・わかりました」
「桜花はおれたちの仲間だ!!!!なんといおうが、俺が・・・・・・」
「まだあなたの力では無理です。今は力を蓄えておくべきです。桜花さんなら大丈夫。藍染惣右介は桜花さんを傷つけたりはしません。」
「・・・・・・・・」
そう。傷つけたりはしないはずだ。だが・・・・・・・
「話はこれにてしまい。みな解散じゃ」
テレビが消え、暗い画面だけが残った。みんなただ呆然とその画面を眺めるだけだった。