第12章 連れ攫われた青い花
「・・・・・・・・・・なん・・・・・・で・・・・・・」
私は言葉が出ずにただその人を見つめた。その人は、あの頃と同じ顔で同じ目で同じ口調で
「久しぶりだな桜花。」
と微笑む。私が何も言えず立ちすくんでいると、
「おや、どうした?感動的な再会じゃないか。君の大好きな元十三番隊副隊長、志波海燕くんじゃないか。」
惣右介が笑って言う。
「・・・・海燕?なんで・・だってあの時海燕は・・・・」
「これは間違いなく、君の知る志波海燕だ。ただし、その体はもう虚と同じものだがね。」
「・・・・・・海燕・・・・?本当に・・・・」
生きてたの?
「そうだ。だからこそ君に条件をもちかけるんだよ。」
「・・・・条件?」
すると、惣右介はにやりと笑う。
「もし君が我々の元に来てくれるのならば、志波海燕と話す機会を与えよう。これは元は我々の破面でね、少々志波くんがいては都合が悪いんだ。君と話したら志波くんも潔く消えてくれると思うんだよ。」
「・・・・・・断ったら?」
「仕方がないから、この破面ごと志波くんを消す。その時にどんな苦痛が志波くんを襲おうとも私は関知しない。」
「・・・・・・」
「さて、どうする?まぁ、もう選択の余地はないと思うが。」
「・・・・・・分かった。」
こうして私は、惣右介のもとに行くことになった。