第12章 連れ攫われた青い花
・・・・・・・・これは・・・・・・・・人?いや、人だったもの・・・・・
辺りは嫌な匂いが立ち込める。血と肉と死の匂い。私の嫌いな匂い。
人だった肉片。さっきまで話してた人たち。とても同じだとは思わない。こうも人とは脆いものなの。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い・・・・
「どうかしたのかい?・・・・・・あぁ、君はこれが嫌いだったね。済まない、忘れていたよ。」
惣右介が斬魄刀を抜く。私を斬るつもりかもしれないのに、私の体は動くことを拒否している。私は動きたいのに。早くここから逃げたいのに。
「統べろ、鏡花水月。・・・・ほら、もう大丈夫だろ?」
惣右介が微笑む。途端に私の視界から血と肉が消え、同時に匂いもなくなった。
「空、まだ怖いかい?」
いつの間にか惣右介の顔が私の目の前にきた。そして、惣右介はそのまま自分の唇を私の唇に合わせた。
「・・・・んっ!?」
私ははっと我にかえり、慌てて引きはがそうとするが惣右介はさらに強く激しい接吻をする。
「ふっ・・・・んっ・・・・・・んーーー!!!!」
もう息が続くか、続かないかくらいでやっと惣右介は離してくれた。
「ゲホゲホ!!」
「おや?桜花くんはキスは初めてだったのかい?」
「惣右介、なんで敵の親玉である惣右介がこんなところに・・・・」
「やっといつもの桜花くんに戻ったか。よかったよかった。キスした甲斐があったってもんだよ。」
「惣右介!!!!答えてよ!!!!それに・・・・・・さっきのは・・・・もしかして・・・・・・」
「おや、せっかく消してあげたのに。思い出すと君が辛いだけだよ。」
「・・・・なんで?なんであんなこと・・・・・・」
「せっかくなら君と二人で話したいと思ってね。彼らは少し邪魔だったんだよ。だから、少し退場してもらったんだ。」
「・・・・・・・・話したいことって?」
「桜花くん、君を勧誘しにきたんだ。君の力が必要なんだよ。私たちの仲間になりなさい。」
「・・・・・私は戦争が嫌い。人が死ぬのが嫌い。知ってるでしょ?惣右介もうこんな事やめよう。私は・・・・」
「・・・・そうか、断るか。まぁ、君は一筋縄じゃいかないからな。だから、私も考えた。」
突然惣右介の後ろから空間の歪ができた。そしてその中に居た人は見覚えのある人だった。