第11章 遅い気づきと奇襲
☆☆~桜花side~☆☆
「へ?」
「だから、あんた何があったのかって聞いてんのよ。」
乱菊からのいきなりの質問。私は心の中が見透かされたような気持ちになり、しどろもどろに答えた。
「なっ、なんでもないよ?うん。」
「嘘つきなさい。あんた、今日1日変よ?無理に笑っちゃってあんたらしくもない。」
「............ 」
「言わないと、痛いことするわよ。」
......それは嫌だ。
私は観念して話す。
「.........今日ね私驚いたことに、初めて・・・その・・・」
「告白されたんでしょ。ってか、あんた告白初めてなの?そっちに驚きだわ。」
「う、うん。で、私......」
「断ったのよね。織姫から聞いた。あんたそんなことで悩んでたわけじゃないんでしょ。さっさと話しなさい。」
「......今日、海燕の夢を見たの」
「.........そう。志波の。」
「海燕ね、あの頃と同じように私の頭を撫でてくれたの。優しく笑ってくれて、海燕が死んじゃったこと夢だったんだって思って。それで、それでね、目が覚めたときすごく悲しかった。私、悲しかったの。海燕のこと乗り越えられたって思ってたから、ホントは嬉しくならなきゃいけないのに......。」
そこで乱菊はゆっくり私を抱きしめてくれた。私は今日一日溜め込んでたものを吐き出すように話を続ける。
「今日ね、初めて告白されて嬉しかったよ。でも、でも、考えちゃったの。海燕のこと。おかしいよね、海燕奥さんいるのに......」
「......おかしくはないわよ。あんた志波とずっと一緒にいたんだもの......」
「......それで私、海燕のこと好きだったんだって気づいた。」
口に出す。口に出してみる。そしたら、もう......止まらなくなる。
「好きだったんだ。そっか。今更気づくなんて馬鹿だよね。笑っちゃうよ。ほんと......なんで今更気づいちゃうんだろ。」
「しょうがないわよ。男ってみーんなそう。ほら、私の胸でたーんと泣きなさい。」
乱菊が優しく抱きしめてくれる。
「遅いの。遅かった。海燕っ!海燕っ!......会いたいよぉ」
乱菊は私が泣き終わるまでずっとそばにいてくれた。