第15章 竜(ドラゴン)の力
「ありがとう、セメントス。助かったよ」
「俺も貴方のファンなので…このまま姿を隠しつつ保健室に向かいましょう」
お礼を言われたセメントスは、はにかむように笑う。憧れの存在に感謝されれば嬉しくなるのもとうぜんと言えば当然だろう。
「いや、怪我はほとんど治っているんだ。八雲少女のおかげだ。ありがとう、八雲少…!?」
オールマイトが八雲の方へ視線を向けると、驚くべき光景が映ってきた。八雲は息が荒れて苦しそうにうずくまっているのだ。緑谷が彼女の背中を擦りながら、「ゆっくり、ゆっくりだよ」と声をかけている。
『ッハ…ッハ…』
「お、オールマイト、セメントス先生…暁さん、呼吸困難になってます!熱もあるみたいで…」
「フム…先程の力の副作用かもしれないな。緑谷少年、彼女を運べるかい?」
「はい!大丈夫です!」
「では俺は病院の手配を頼んできます」
緑谷は八雲を背負い、オールマイトはそれに付き添う。セメントスは壁を作りながら急いで出入口へ向かう。
「暁さん、もう少しの辛抱だからね」
『ッハ…いず、く…』
「八雲少女、後は任せてくれ。…君は、立派に戦ってくれた。後は我々(プロ)の仕事だ」
『……』
八雲はその言葉を聞いて安心したのか、意識を失ってしまった。
「こんな状態の私が言える事でもないが…急ごう!緑谷少年!」
「…はい!!」