第14章 敵との戦い(2)
_ズン、_ズン、
「_!?あれって、まさか…」
「嘘だろ…同じ奴がもう一体だと!?」
「しかも、さっきの奴よりでけぇじゃねえか!!」
地を鳴り響かせながら出て来たのは、脳無だった。しかし、先程オールマイトが吹っ飛ばした脳無の三倍はあろうかという大きさだ。あまりの迫力に、その場にいる生徒達は唖然と立ち尽くす。
『これが“切り札”…!?』
八雲も二体目の脳無の存在に驚きを隠せなかった。竜よりは小さいが、それでも大きいものは大きい。恐らくパワーも桁違いだろう。
「こいつはまだ試作品でね…“個性”が超再生しかないんだ。けど力(パワー)と速度(スピード)はさっきの脳無より高い。今のオールマイトにトドメを刺すには充分だ」
「くっ…!」
悔しむオールマイトに余裕たっぷりに笑う死柄木。緊張が走る中、緑谷は一人この状況をどう打開するか思考を巡らせていた。
「(そんな…オールマイトはもう一歩も動けない状態なのに!どうする!?僕が“個性”でオールマイトを連れて飛ぶ…いや、速度で負ける!せめて僕達で相手して足止めするしか_)」
『出久君』
「!!…暁さん…」
名を呼ばれ振り向くと、八雲が静かに脳無を見据えている。彼女は制服のブレザーを脱ぎ捨て立ち上がる。
その時緑谷を含め暁の行動を見ていた者は、彼女の身体を見て普段と違う事に気付く。
「お前…」
「暁さん、その鱗みたいなのは…?」
そう。八雲の両腕や首など、衣服から出ている身体の各部に鱗が張り付いていたのだ。“張り付く”と言うより、肌が鱗に“戻った”と言う方が正しいのかもしれない。
目の色は琥珀色になり、目付きも心做しか鋭くなっている。口からは八重歯が覗いており、白銀だった髪は薄い金髪に変色している。そして彼女から放たれるオーラはある種の“怪物”を連想させる。
『…“ドラゴンフォース”』