第14章 敵との戦い(2)
「さてと敵(ヴィラン)、お互い早めに決着つけたいね」
「衰えた?嘘だろ…完全に気圧されたよ。よくも俺の脳無を…チートが…!」
自分達の作戦が上手くいかなかったせいか、自分の指示に忠実に動く化物をやられてしまったせいか、酷く荒れる死柄木。
「おいおい、どーゆうことだ…全っ然弱ってないじゃないか!!あいつ…俺に嘘教えたのか!?」
『(…“あいつ”?)』
「どうした?来ないのかな!?クリアとかなんとか言ってたが…出来るものならしてみろよ!!」
死柄木に鋭い視線を向けるオールマイト。轟や切島達は気付いていないが、緑谷と八雲には分かっていた。それがオールマイトの精一杯の虚勢である事に。
そして八雲は死柄木が言い漏らした一言にある疑惑を抱く。
『(“あいつ”はオールマイトが弱体化している事を敵連合に教えた。つまり彼の事情を知る人物!でもそれじゃ…雄英高校やごく一部のヒーロー側に共犯者…“内通者”がいる事になる!)』
「さぁどうした!?」
八雲が“内通者”の可能性を懸念している間にも、オールマイトは敵に向かって虚勢を続ける。
「脳無さえいれば!!奴なら!!何も考えず立ち向かえるのに……!」
「死柄木弔…落ち着いて下さい。よく見れば脳無に受けたダメージは確実に表れている。貴方と私で連携すれば、まだヤレるチャンスは充分にあるかと…それに」
荒れる死柄木を穏やかに諭しながら話す黒霧。そしてふと言葉を切ると怪しげな微笑みを見せる。
「_我々には、“切り札”がある」
『!!(まだ手の内を隠し持っていたの!?)』
「……うん…うんうん…そうだな…そうだよ…そうだ…やるっきゃないぜ…目の前にラスボスがいるんだもの」
黒霧の言葉で冷静になる死柄木。手の隙間から見える顔からは殺気立つ眼が赤く光っている。
「こいつはまだ試作品だから出せないと思ってたけど…今が使い時みたいだな。…黒霧!」
死柄木が黒霧に合図をすると、再び黒いモヤが目の前に広がり始める。そしてその中から出て来たのは…