第15章 竜(ドラゴン)の力
「へぇー…それがお前の“切り札”ってやつかな?さっきまでと全然様子が違う…ほんとに面白いよ、暁」
『……』
「警戒して下さい、死柄木弔。舐めていたら痛い目を見ますよ」
好奇心に満ちた目で八雲を見つめる死柄木と違い、身構える黒霧。
「八雲少女…君は一体…」
『すみません、オールマイト先生。…これが終わったら、皆に“全て”を話します』
「……分かったよ。ここは君に任せよう」
「オールマイト!?でも…」
「黙って見とけクソナード」
「かっちゃん…」
オールマイトと爆豪に咎められるも、緑谷は内心冷や汗が止まらなかった。
「(見た目でパワーアップしたのは分かるけど…暁さんには今までの疲労が残ってるはず。特に首の怪我が酷かったし、せめて手助けだけでも─!?)」
_ドッカァン!!
一瞬、何が起きたのか分からなかった。気付けば自分の数歩前に立っていた八雲はいなくなっていて、目の前を見れば脳無も消えている。これは一体…?
「_上だ!!」
いち早く事態を理解した轟が声を上げる。全員が上を見ると、上空になんと脳無が浮いているではないか。しかし脳無の体勢は異常であった。
_ドガァン!_ドゴォン!
上空で浮いている脳無に見えない攻撃が炸裂する。腕や足はありえない方向に折れ曲がり、再生しようとする傷からは更に血が溢れ出す。
「何が起こってる!?脳無は何故動かないんだ!!」
攻撃を受けても全く抵抗しない脳無を見て声を荒らげる死柄木。まだ未完成とはいえ、攻撃を避けるなり受け流すなりの動きは出来るはずだ。なのにそれをしない…いや、出来ない。
「なるほどな…」
「…マジかあいつ」
「轟!爆豪!なんか分かったのか!?」
脳無が抵抗出来ない理由が分かった二人に説明を求める切島。唖然となっている彼らの代わりに緑谷が答える。
「暁さんは、オールマイトと同じ事をやってるんだよ」