第14章 敵との戦い(2)
_ドゴォン
『!!』
衝撃音がしてハッとなる。駄目だ、思い出に浸っている場合ではない。
「チッ…おいおい…“ショック吸収”って…さっき自分で言ってたじゃんか」
「真正面から殴り合い!?」
前を見ると、オールマイトと脳無がお互いの拳で殴り合っていた。
『(脳無の“個性”は“ショック吸収”…これじゃさっきと同じだ!…でも、オールマイトの攻撃…さっきと何かが明らかに違う感じがする)』
「オールマイトの攻撃…さっきより威力があがってねえか?」
『!…うん』
轟の言葉に同意する八雲。彼はもうすぐ限界のハズ。
「私対策!?私の100%を耐えるなら!!」
…いや、もしかしたら、もう迎えているのかもしれない。それでも彼は、
「さらに上からねじ伏せよう!!」
その拳を振るい続ける。
「(血を吐きながら…!!全力で…!!やたらに撃ち込んでるんじゃない!)」
『(彼の一発一発…その全てが彼の全力…いや、100%以上の力で…!)』
そして彼は再び拳を構える。
「ヒーローとは常にピンチをぶち壊していくもの!」
その時、私は見えた気がした。
「敵(ヴィラン)よ、こんな言葉を知ってるか!!?」
彼の“個性”ワン・フォー・オールの…
「更に向こうへ!!」
代々受け継がれて来た、本当の力を、その光を。
「Puls Ultra!!」
その力を真正面から受け止めた脳無は、その力を吸収しきれず吹っ飛んでいった。そして、そのまま施設の天井を突き抜け、空の彼方へと消えた。
その様子を目の当たりにした生徒達は驚きと賞賛の声を上げる。
「今飛んでったの、敵(ヴィラン)…だよな」
「このパワーは…」
「オールマイトだ…!!あんなすげー事出来んの他に居ねーって!!」
「……漫画(コミック)かよ。ショック吸収を無い事にしちまった…究極の脳筋だぜ」
「デタラメな力だ…再生も間に合わねぇ程のラッシュってわけか…」
『(これがトップ…プロの世界…!)』
…どうやら私は、心構えが甘かったらしい。この世界に来てからの私は、まだまだ未熟者だ。