第14章 敵との戦い(2)
「ねえ。そいつ、マジでなんなの?幻影出せると思ったら、水を出せるし瞬間移動出来るし。ほんとにチートじゃん。…いいなぁ、ますます欲しくなる」
轟に倒れかかっている八雲を物欲しそうな目で見る死柄木。どうやら彼女は彼の興味をすっかり持っていってしまったようだ。
「なあ黒霧。あいつ、連れて帰ろう。…暁っていうんだって…」
「ふむ…確かに、あちら側に置いておくには、かなり惜しい存在。彼女自身、まだ未知なる部分がある。…まるで我々の想像を遥かに超えるようなものがあるかも知れませんね」
『!!?』ビクッ
黒霧の怪しげな目と確信をついた言葉に思わず身震いをする八雲。轟の言う通り、馬鹿だが阿呆ではない。大胆な作戦をする割には、かなり確信のつく攻撃を仕掛けてくる。
「八雲、あいつらの言う事に耳を傾けるな。お前は回復に専念してろ」
『、ぇ…』
ふと視界が白に染まる。見上げると轟が敵二人の視線から守るように庇ってくれたようだ。
彼の戦闘服である白い服に、ふと記憶が蘇る。
─お前は下がってろ、俺がやる
─貴方一人じゃ無理よ!ローグは今ナツが止めてくれてる。せめてこの竜をここから動かさないようにすれば_
─あいつを止めれるのは火竜じゃねえ。…暁、お前だ。全ての竜の母である“海竜王”の血を引くお前だからこそ、この戦いに終止符を打つことが出来る。
─そんな事、言われても…私、何も、
─《いつまで喋っているつもりだ。来ぬのなら、こちらから潰すまで!!》
─行け!暁!!
─“××××”!!