第14章 敵との戦い(2)
オールマイトは腕をX型に交差させて脳無に突っ込んでいく。
「CALORINA…SMASH!!」
脳無はそのまま吹っ飛んでいく…と思ったが寸前で踏みとどまる。体には何の被害も無さそうだ。
「ムッ!!マジで全っ然効いてないな…!!!」
驚くオールマイトに死柄木は得意気に話す。
「効かないのは“ショック吸収”だからさ。脳無にダメージを与えたいなら…ゆうっくりと肉をえぐり取るとかが効果的だね……それをさせてくれるかは別として」
『(成程…“ショック吸収”なら、出久君と私の攻撃が効かなかったのも頷ける。特に出久君とオールマイトの“個性”は相性が悪すぎる!)』
彼らの“個性”ワン・フォー・オールは平たく言うと一撃必殺タイプのものだ。普通ならワンパンで倒れる相手でも、脳無には全く効かない。
『(やはり私が援護を_!?)』
「わざわざサンキュー。そういうことなら!!やりやすい!!」
「おいおい…」
普通に考えてピンチな状況なのに、オールマイトは笑顔で、しかも敵にお礼を言っている。死柄木も彼の態度に呆れている様子だ。
オールマイトは脳無の腰の辺りを抱えると、そのまま相手を背負い投げの容量で頭から地面にぶつける。脳無の上半身は地面にめり込んだ_いや、違う!
「(っ〜〜〜〜!!そういう感じか…!!)」
「!!!」
『(オールマイトの体の下に、脳無の上半身が出てきた!?いや、二人の足元の黒いモヤ…まさか!!)』
黒霧が“個性”を使い、脳無をワープさせたのだ。しかもオールマイトは見るからに苦しい体勢で、脳無に捕まっている。
「コンクリに深く突き立てて動きを封じる気だったか?それじゃ封じれないぜ?脳無はお前並みのパワーになっているんだからな」
死柄木は好機を得たとばかりに怪しく微笑む。
「いいね黒霧。期せずしてチャンス到来だ」
「あイタ!!」
そうこうしている間にもオールマイトは苦しんでいる。しかも脳無が鷲掴みにしている所は_
『(オールマイトの“声”を聴かなくても分かる…あそこは、彼が過去に負傷したあの場所!非常にまずい…)』
元々あの怪我のせいで彼はヒーローとしての活動が満足に出来なくなってしまったのだ。もはや彼の弱点と言っても過言では無いだろう。