第14章 敵との戦い(2)
「待ってたよヒーロー。社会のごみめ」
「あれが…オールマイト…!!迫力すげぇ…!!」
他の敵(ヴィラン)達が呆気に取られた隙に、オールマイトは相澤を助け出す。
相澤は顔を中心にして致命傷を負っており、脳無によって見るも無惨な姿にされていた。右肘も死柄木の“個性”により崩れかけている。
「相澤くん…すまない…!!」
そして次の瞬間には、緑谷・峰田・蛙吹、そして死柄木に捕まっていた八雲を連れ出し遠くへ避難させた。
その拍子に、死柄木の顔に付いていた掌の一つが落ちる。
「え!?え!?あれ!?」
あっという間の出来事についていけない峰田達。混乱する生徒達にオールマイトは素早く指示をする。
「皆入り口へ。相澤くんを頼んだ。意識が無い、早く!!八雲少女もかなり負傷している」
「は、はい!」
相澤は確かに意識が無い様子で、一刻を争う状態だ。
八雲は首を中心に体の崩壊が進んでおり、黒霧に放り捨てられた時よりも酷い事になっている。
それでも必至に意識を保ち、警戒に満ちた視線を敵に向けている。
『(予想以上に損傷が激しい…治癒をしたいけど、魔力を余計に消費する訳にはいかない…どうする!?)』
死柄木の方を見ると、何やらブツブツ呟きながら掌を大事そうに拾い上げた。“父さん”と聴こえたのは気の所為だろうか。彼は丁寧に掌を付け直した後、血走った目を此方に向ける。
「はぁ……助けるついでに殴られた…ははは、国家公認の暴力だ」
「流石に早いや、目で追えないけれど思った程じゃない」
─やはり本当の話だったのかな…?弱ってるって話…
彼のその一言を聴いた八雲は絶句した。相手は何処まで此方の情報を知っているんだ。
ふと隣を見ると、緑谷がオールマイトに大きい化け物…“脳無”と呼ばれる敵(ヴィラン)について話していた。
それを聞いたオールマイトは「大丈夫!」と彼に笑顔を向けた後、あろう事か一直線に脳無に向かって飛び出した。
『(!?何を…)』
思わず止めようとしたが、首を酷く損傷している為声が出せない。