第8章 私の“個性”
「ご、ごめんっ!!急に語り出して!で、でもあの“個性”、本当に素敵でかっこよくて…帰りにかっちゃんとずっと話してたんだ。ね、かっちゃ…!?」
緑谷君が爆豪君の方を振り返ろうとすると、爆豪君はこちらにズカズカと歩いてきて、緑谷君を肩で退(ど)かすと、私の目の前に立った。
私は座っているので、自然と爆豪君を見上げる形になる。私が首を傾げると、爆豪君はようやく口を開いた。
「…てめぇが、“あれ”出したんか」
『う、うん』
“水の竜”の事だろう。私は大人しく肯定する。
「…んなもんより…の方が…」
『…え…?』
彼はポツリと呟いた後、私からプイッと顔を背け、フンッと鼻を鳴らす。
「てめーの“個性”より俺の方がすげーって事だよ!!ちゃんと聞いとけ、若白髪!!」
『わ、若白髪…』
確かに私の髪は白銀色だけど…生まれつきなんだよなぁ。
地味にショックだったので下を向いていると、周りがフォローしてくれた。
「お姉様の髪は白髪等ではありませんわ!!珍しい色なだけです!」
「そうだぞ、爆豪!お前、女子にそんな事言うなんて…それでも漢(おとこ)かよ!」
「そうだそうだー!分かったら場所変われ!俺だって真正面から八雲のロリエロボディを…」
「お前は突っ込む所が違うだろう」
「美しくないね」
『あ、ありがとう皆。私は大丈夫だよ!』
なんか一触即発になりそうな雰囲気なので、慌てて仲裁に入る。
『ほ、ほら、次の授業始まっちゃうよ。ヒーロー基礎学!』
_ヒーロー基礎学_
その言葉に皆がピタッと止まる。今だ…!
『皆、席につかないと授業見学になっちゃうかもよ?』
そう促すと、
「見学!?なりたくねー!」
「確かに、初日からお預けなんて嫌だね」
「やっべ。皆戻ろうぜ!」
ぞろぞろと席へ戻っていくクラスメイト達。
『良かったぁ…』
思わず一息をつく。なんて言ったって、次の授業の担当は…
『No.1ヒーロー、オールマイトだからね』