第21章 水竜VS冷徹猫
『_っそろそろ、息、切れてるんじゃない?』
「ほざけ!!てめーの、方だろ_ッハ」
愛龍の拳を受け流し、足を入れようとすれば躱される。相手から肘が飛んでくれば
カウンターで脇腹に一発入れる。けど受け止められて逆に抑え込められてしまった。
腕を引っ張られ、気付けば背中から地面に叩きつけられていた。そこで私達の動きはようやく止まった。
私も愛龍もお互い傷だらけで息を切らしていた。まるで何時間も戦っていたかのようだった。
《ようやく動きが止まった!!どちらも消耗が激しいが、八雲弟が一歩リードか!?》
プレゼントマイクの声が聞こえる。今までも声は聞こえていたけど、
何を言っているのかまでは分からなかった。それ程この戦いに集中していたのか。
「…これで、オレの勝ちだ。あばよ!!」
愛龍は私の胸倉を掴むと、そのまま私を上空高く放り投げた。
上がるスピードが止まったところで下を見れば、スタジアムが両手で収まるくらいの場所まで飛んでいた。
スタジアムの中にいる愛龍の様子が分からず、何をするつもりなのか分からなかった。これでは相手の次の手が読めない…“今までの私”なら。
『…“個性”千里眼』
目を閉じてスタジアムを見る。すると、まるでその場に居るかの如く、相手の様子、スタジアムの観客全てが思い通りに見えた。
標的である愛龍の姿を見れば、両腕を交差させた独特の構えをしていた。あれは…グレイの造形魔法か!
『本当…どこまで成長してくれるのかな』
それなら私は…
『モード〈天竜〉…』