第21章 水竜VS冷徹猫
─緑谷side─
「……格が違う」
僕は思わず、ポツリと呟いた。ただ目の前の試合に圧倒されながら、あの二人の戦いに目を奪われていた。
リカバリーガールの所でオールマイトと話し終え、轟君対瀬呂君辺りから試合を見ていた僕。
轟君の大氷壁もそうだったけど、前に敵襲撃にあった時や、かっちゃんと戦った時だって
少なからず、僕は鳥肌が立ったり身の毛のよだつような瞬間があった。
その中でも、“これ”は断トツで格別だ。この二人の戦いは、僕のちっぽけな想像を遥かに超えていた。
《オイオイオイオイィ〜!!何だ何だ!?このシビれる戦いは!!アイツらの動き、全く追えねえんだけど!!実況者泣かせにも程があるぜ…!》
プレゼントマイクの言う通りだ。二人の…暁さんと愛龍君の動きには目を追いつかせるのが精一杯で、口で説明しようとすれば、もう次の一手へと踏み込んでいる。
何より恐ろしいのは、二人はまだ“魔法”を使っていない。体術だけで張り合っているのだ。
ノートに纏めようとするけれど、何を書けばいいのか、何処からどう書けばいいのか分からず、開けたまま膝の上に鎮座している。
…この時の僕は気付かなかったけど、後々お母さんが撮ってくれたビデオを見ると、僕だけでなく、観客席の人々全てが静まり返っていた。