第18章 水竜の娘の過去と始まり
『…これが私の始まり。私は故郷を失う前に親から捨てられていたの。リーヴァはそれを見越して私を育てたのかもね』
ちょっぴりおどけて終わってみせたけど、皆の顔色は明るくならない。何を言っても無駄な様だ。
ならせめて、私の本心を言おう。
『本当の親を、私は恨んでないよ。むしろ感謝してる。リーヴァという誰よりも頼れる竜(ひと)と出会えたし、そこからFAIRYTAILの皆と出会って、この世界で君達に出会えた。…悲しくなかったって言えば嘘になる。けど、悲しみがあってこそ喜びがある。私はそう思うな』
話終わり!と早々に切り上げて教壇を降りる。もちろん愛龍をしっかり抱えて。
相澤先生も頃合だと見たらしく、入れ替わる様に教壇にたった。
その後先生がHRで何を話したのかは覚えてないし、そもそも聞いてもいなかった。ただただ明日の事が心配だった。
教室を出ようとすると、沢山の生徒が廊下を埋め尽くしていた。なんだろう、誰かの出待ちか何かか。
とにかく早く帰りたい。愛龍には悪いけど、今日は仕方ないと思ってほしい。
私は人混みの中を器用に避けながら廊下を駆けた。
「あっ暁ちゃん!」
「お姉様!」
『(お茶子、百…ごめん)』
_また、逃げた。
心の中で自分を毒づきながら、ただ走った。