第17章 真実を話す時
「お早う」
「相澤先生復帰早えええ!!!!」
やっぱり皆、相澤先生の事を心配してたみたいで驚いた表情をしている。
皆が教卓に立つ先生に気を取られている隙に後ろのドアから入り、そっと席に着く。
私の気配に気付いたのか、轟君がチラリとこちらを見てくる。バッチリ目が合ってしまい、思わず顔ごと背ける。
私達がそんな茶番をしている間にも先生の話は進み、近々始まる“雄英体育祭”についての話題になっていた。
なんでも雄英の体育祭はビッグイベントの一つであり、全国のトップヒーローがスカウト目的で観に来るのだという。
『…(まるで大魔闘演武みたい)』
“オリンピック”というものがそもそも分からない為比べようもないが、イメージ的にはそんな感じだろう。
「そしてもう一つ…このクラスに_“転校生”が来た!!」
「「ええええ!!?」」
「転校生だとォ!?」
「こんな時期に!?」
「誰誰?女?男?もしかしてイケメン!?」
「女なら断然オッケー!!」
「静まらないか君達!!先生の話の途中だろう!!」
“転校生”という言葉を聞いて焦る人、はしゃぐ人、難しい顔をする人…要は十人十色のような反応である。
「お前はもう知ってるみたいだな」
『ああ…知り合いというか、なんというか…』
「?」
歯切れの悪い私に首を傾げる轟君。だって「唯一無二の相棒です」なんて皆の前で言える訳がない。第一恥ずかしい。それに、彼の“設定”上どう説明していいのか分からない。
「入ってこい」
「……」
一旦落ち着いた所を見計らって相棒先生が声をかける。そして彼は入って来た。
細身に見えるが程よく鍛えられた体付き。170後半はあろうかという身長。そして良く整った顔立ち。
垂れ目がちなで猫背気味な事もあり一見大人しそうなタイプに見えるが、左耳に付いたピアスと鋭い眼差しがそれを抑える。
女子達は思わず見とれてしまい、声を出す事も出来ない。
「…今日から1-Aの生徒になる八雲愛龍だ。席は轟の後ろな」
「「_はあああ!!?」」