第17章 真実を話す時
「………」
愛龍は黙って教室の中を進み、轟君の後ろ_私の隣の席_に着く。
「朝の連絡は以上。時間は有限だ。大事に使え」
それだけ言い残すと相澤先生は廊下へと消えていった。
「「………」」
その直後、重苦しい雰囲気が教室の中に溢れた。
…原因は私と彼のせい、だと思う。多分。
『えと、愛龍…教材とか大丈夫?先生に貰ったよね?』
「ああ。昨日、一揃い貰った」
『そっか。なら良かっ_』
「ちょおっと待ったぁー!!」
『「!?」』
私と愛龍は思わず目を見開いて固まってしまった。声の上がった方向を見ればピンク色の少女_芦戸三奈がこちらを指さしていた。
「二人ともどういう関係なの!?」
「俺も気になる!なんで二人苗字一緒なんだ!?」
『え、ええと…』
「うるせーよピンク女、発電男。耳痛てーだろーが」
「はあ!?」
しまった!愛龍は三奈や上鳴君みたいな人苦手だった。彼の顔色とオーラから不機嫌MAXなのがビンビンに伝わってくる。
愛龍の発言にイラッとしたのか、三奈と上鳴君から一触即発なオーラが出ている。
『_ごめん二人とも!愛龍、昔からこんな感じだから…ほら、愛龍も謝って』
「なんでオレが雑魚二人に謝罪すんだよ。するんならそこの爆破男と硬化男だろ」
「んだとクソモブ!!」
「俺も!?なんで…」
「“あの時”お前らが飛び出さなかったら、少なくともこのクラスの二十人が命の危険を感じる事は無かった」
「「!!」」
愛龍の言葉を聞き、押し黙る勝己君と切島君。何故わざわざ思い返させるのだろう。彼らは充分反省しているというのに。
『愛龍!そんな言い方しないで…それに私にも非はある。なにも二人だけ責めなくても…』
「オレが言いてーのは、状況判断力が著しく欠けてやしませんかねーって事だよ」
『………』
彼の言葉に何も言い返せなかった。
せっかく根津校長の計らいで一緒に学校生活を送れるようになったのに…これではこのクラスはギスギスしたままである。
彼には“協調性”を学んでもらう必要がありそうだ。
『…お昼休みに説教だから』
「!!」
彼は目を見開いて私を見る。私はその視線を無視して席に戻った。
クラスの雰囲気は、敵連合軍襲撃時に逆戻りした。