• テキストサイズ

隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第4章 インターハイ


「あ、あの実は荒北さんがリタイアされる時、僕たち給水所から追いかけてはいたんですけど間に合わなくて、、、」
オドオドと話す1年生に荒北はイライラした。
「アァ!?ンなこと別に分かってンヨ!落ちていく選手をいちいち拾えるかっつーの。ンなことで話しかけたのかよ」
眠気で機嫌の悪い荒北に睨まれて1年はビクッとした。
「い、いえっ!えっと、それもあるんですけど、、、」
「なんだァ?ハッキリしろ!!」
「は、ハイっっ!!あの!僕たちが着いた時にはすでに荒北さんを介抱してくれてた方がいたんです!!すみません!」

介抱、、、?
その言葉に荒北の眉毛がピクリと動いた。
それって、まさか、、、

「それは、、、誰だ?」
荒北は声を低くし、睨むように1年を見た。
朧げな記憶を辿る。

夢だと思っていた。
ケド、、、一体どこからが夢だった?

眩しく照りつける日差しの中で、汗と涙で霞む視界。
手も足ももう動かなかった。
頭を持ち上げる事さえままならない。
どんどん小さくなるチームの背中が見えなくなった時、視界がぐらりと傾いた。
「キャー!倒れるわよ!!」
誰かの叫び声が聞こえた途端、目の前に現れたのは、、、

「あ、お名前は聞かなかったんですが、荒北さんのお知り合いだとおっしゃっていました」

白い影。そして

「金髪で背の高い、、、えっと、とても綺麗な女性でした」


太陽の光に輝く長い金色の髪だった。


荒北は細い目を大きく見開いた。


「その方が落車する直前、荒北さんを支えて下さったようです。そのせいか洋服もかなり汚れてしまっていたようなので、一応お伝えした方がいいかと思って、、、。遅くなってしまい、すみませんでした!!」
そう言って1年は荒北に深々と頭を下げた。
「分かった。教えてくれて、ありがとナ、、、」
荒北は静かに礼を言った。
その目はもう後輩達を見ていない。
怒られると思っていた1年2人はホッとしたように顔を見合わせ、再度ペコリと頭を下げて笑顔で席に戻っていった。

/ 356ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp