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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第4章 インターハイ


「ゲホッ」
荒北が咳き込んだ。
「しまった!」
沙織は強く締めすぎたと思った。荒北の顔は苦しそうに歪んでいた。
沙織は荒北の身体を離してその身体を揺すった。
「荒北っ!荒北っ!」
少しして荒北の目が薄く開いた。その目を見た途端、沙織の目からまた涙がこぼれた。
「よかった、、、!荒北、大丈夫?」
荒北は余程キツイのか、今にも気を失いそうだった。
その目は暫く宙を見ていたが、ふとその目が沙織の目を捉えた。
「ハッ」
そして荒北は苦しそうに笑った。
「え、、、?」
荒北の口が微かに動いた気がした。
「何、、、?」
沙織はその声を聞きとろうとして顔を近づけた。
沙織の耳に荒北の掠れた声が響く。

「綺麗だナ、、、お前」

その言葉を聞いた沙織の顔を見た荒北は、不敵な笑みを浮かべ再び目を閉じた。

「す、すみませんっ!!!」
「荒北さんっ!!大丈夫っすか!?」
眠る荒北を抱き抱え、固まる沙織はその声にハッと我に返った。
胸元に大きく箱根学園と書いたジャージ。
小柄でまだ幼い顔は見たところ、自転車競技部の1年だろうか。
「すみません!ありがとうございます!」
その部員は沙織から荒北を受け取ると、綺麗なお辞儀をした。
「あ、、、はい」
沙織も思わず敬語になる。
「あの!失礼ですが荒北さんのお知り合いの方ですか?」
「あ、えっと、一応、、、」
「これから救護テントに行くんですが、良かったらご一緒に、、、」
その言葉に沙織は焦った。
「い、いや!その、、それは遠慮します、、、。もう帰るんで、、、」
「そうですか。わかりました!それでは失礼します!」
そう言うと、2人の部員は沙織にまた綺麗なお辞儀をして、荒北を肩で支えながら去っていった。
「あぁ、、、それじゃ、、、」
沙織はその後ろ姿を茫然と眺めた。
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