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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第4章 インターハイ


「荒北選手!広島呉南を追い抜きましたー!!広島は戦意喪失といったところでしょうか?どんどん距離が離れていきます」

「やったーー!!」
沙織はそのアナウンスを聞いて飛び跳ねた。
「お姉さん!良かったねぇ!」
「やっぱ箱学すげーわ!1人で広島のフルメンバーを破るなんてハンパねー!」
男達も一緒になって喜んだ。
「だからアイツは強いって言ったじゃん。アイツは取るって言ったら取る奴なんだよ」
沙織は誇らしげに言った。
「へぇ、荒北って奴、そんな事言ってたんだ?」
「そ!レース前日の夜に約束したんだよ。優勝取ってくるって」
沙織のその言葉に男達は食い付いた。
「何それ!?私を甲子園に連れていって的な!?」
「前日の夜にそんな話するとか何でそれで彼女じゃないの!?」
「約束って何?優勝したらチューしてあげるとか!?」

そんな話になるなんて予想していなかった沙織の顔はどんどん赤くなった。
「ちっ、違う!!そんなんじゃないって言ってんだろーが!夜に会ったのは、たまたまジュース買いに休憩室にいったらアイツがそこでバカみたいに寝てたから起こしてやっただけだし!練習でケガしてたから心配してやったらレースの話になっただけだし!」

「それで何で優勝の約束とかしちゃうの?」
男達はニヤつきながら沙織に詰め寄った。
「えっと、それで、、、」
「それで?それで!?」

それで、、、、
「取ってきてやンよ」
沙織はあの晩、そう言った荒北の横顔を思い出した。月明かりに照らされた荒北の顔は、ぶっきらぼうな言葉とは裏腹に心なしか優しく、そして少しだけカッコよく見えた。

フフ。それでもブスだけど笑
、、、ねぇ、荒北。
あの時、アンタは何を考えてたの?
もしかしてまた私を励ましてくれてたの?

「あれ?お姉さん!なんかちょっと笑ってない?」
「何何?いやらしい事思い出してた?」
「あぁ!もうー!うるさいっ!もうこの話は終わり!レースに集中するぞ、バーカ!」
沙織はそう言って話を遮った。
レースに集中しようとコースを見つめたが、緩んだ頬がなかなか戻らない。それを見る男達のニヤニヤとした視線も感じていたが見ないフリをした。


ごめん、荒北。
私はいつも勝手で、
そうだったら嬉しい、なんて思ってるみたいだ。
バカみたいだろ?
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