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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第4章 インターハイ


「3選手は協調をしているようですねぇ。このまま先頭に追いつき、箱学、総北、京都伏見、広島の戦いになるのでしょうか!」

協調って何だ?

沙織が不思議に思っていると先ほどの男達が話している声が聞こえた。

「箱学、集団から出て協調だってよ!このまま追いつくんじゃね?」
「1人で走るよかはなー。けど、連れてる2人って確か1年でクライマーだろ?かなりキツイと思うぜ?」

「なぁ、協調って何?」
「え?」
突然沙織に話しかけられて男達は驚いた。
固まる男達に沙織はイラッとした。
「だから、協調って何だって聞いてんの!」
「ヒッ!あ!はい!えっと、1人で走るより複数で交代で走ったほうが楽だし速く追いつけるんですよ。それで同じ目的なら他校とも協力したり。ロードレースの作戦の1つっすね」
「なるほど、、、」
「けど、今回、荒北ってのが連れてる2人はクライマーっつって、登りは速いけど平坦は苦手な奴で」
「そうそう!しかもこのさらに先の富士山まで登りは無いから、今、広島を追いかけるこの状況ではあんまり役に立たないっていう」
「ぶっちゃけ、荒北って奴が1人で漕いでるのとあんまり変わんないんじゃないかなぁ」
「そう、なんだ」

荒北、、、あんたなら余裕だよな?
だっていつも1人で回してたじゃん。
大丈夫、大丈夫と不安に高鳴る心臓を押さえつけて、沙織は遠く続く道の先を見つめた。

その様子をみて男達がニヤッとした。
「もしかしておねーさん、荒北って選手の彼女ですか?」
「ハァ!?な、何言って!!」
急な言葉に口がうまく回らない。
「だってさっきも荒北ってのバカにしたら怒ってたし」
「ちっ、違うっ!アイツはなんていうか、ただの、、、」
ただの、友達?いやいやアイツと友達とか鳥肌立つわ。
沙織は荒北と仲良く遊ぶ自分を想像してゾッとした。

じゃあ何なのだろう。アイツは私の何だろう。
私の友達は佳奈で。恋人は巧で。

、、、私はアイツにとって何だろう。
アイツの友達は新開で。恋人はアキちゃんで。
私は、ただのクラスメイトで。
たまたま隣の席になっただけで。
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