第4章 インターハイ
それなのに
「広島呉南!前方の箱学、総北を捉えました!」
思い出しちゃったんだ。
1人ペダルを回すアンタの姿に。
「追い抜いた!そのまま先頭集団を追いかけます!」
見惚れちゃったんだ。
あの晩、ただ前だけを見つめる瞳に。
「お、ここで後方集団に動きがあったようです」
気づいちゃったんだ。
あの日の私を1番否定してたのは、自分だったんだって。
「広島が抜けて後方集団は散り散りになり勢いを無くしたようですね。これも広島の作戦でしょうか。」
『怪我なんて気にしてる奴にはゴールは取れねぇ!絶対にだ!』
泣きそうになったんだ。
アンタがそんな事口に出すから。
「しかし、何とその中から、、、」
夢見ちゃったんだ。
あの時の私は間違ってなかったんだって
言われたようで。
アンタが勝ったら
私は私を許せるんじゃないかって。
「箱学の荒北選手!真波選手!そして総北の小野田選手が飛び出しました!!先頭に向かう広島を追いかけます!!」
だから、、、
「行けー!!荒北ーーー!!!」
私は声を張り上げる。