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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第1章 春はあけぼの


ホームルーム後、荒北はまたイラついていた。今日は始業式だから早く部活に行けると思っていたのだが、この後、図書委員だけ集まりがあるというからだ。
「ックソが!なんで図書委員だけ仕事があんだ!早く部活に行かせろヨ!」
そう毒づくともう1人の図書委員が震え上がった。
図書委員なんて面倒くさそうな委員になんてなりたくなかったが、クジで決まってしまったから仕方がない。
「ハァー」
荒北は深くため息をついた。

物理委員なんていう何の仕事をするのかよくわからない委員になり、
「靖友!早く終わらせて部活に来いよ!」
と爽やかに言ってのけ、さっさと部活に行ってしまった新開が心底羨ましい。しかも物理委員の女子はちょっと可愛い。

図書室に入ると他のクラスの委員達がすでに集まっていた。皆、荒北を見て、何で荒北が図書委員なんだ?とでも言いたげな顔をしている。
うるせぇ!そんな事俺が1番思ってんだヨ!
荒北は心の底からげんなりした。

その日、図書委員に課せられた仕事は図書の整理と修理だった。所々にある破れなどを補修し、読まれないだろうと思われる図書は書庫へと運ぶ。
ペアでの作業だったが案の定荒北はあぶれ、もう1人あぶれたであろう女子とペアになった。

なんだコイツ、ダッセ。

荒北とペアになった女子は同じ3年生らしいが、えらく小柄だった。地味な眼鏡と肩できれいに揃えられた黒髪が、その女子を余計に幼く見せていた。

チビ眼鏡だナ、、、
ただ荒北がチビ眼鏡と思ったこの女子だけが、荒北のことを避けなかった。

「荒北くん、次はこの10冊だって」
そう言ってドスンと分厚い本を机に乗せる。

コイツ、小さい割に意外と力があるじゃナァイ。

「荒北くんて、手先が器用なんだね」
チビ眼鏡は荒北の細い指先を見てそう言った。
荒北達は本の修理を担当していた。荒北は面倒くせーと思いながらも、この手の作業は嫌いではない。
そんな荒北の目から見て、チビ眼鏡の仕事ぶりは全然なっていなかった。破れたページの文字がズレていたり、テープにも空気が入りまくっている。
コイツ、見た目によらず不器用チャンか!
荒北はまたイライラした。
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