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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第4章 インターハイ


インターハイ2日目。

荒北や新開が汗を流しながら走り、佳奈が一生懸命応援をしている時、沙織は淡々とバイトをこなしていた。というか、体調が良い分、いつもよりも頑張っている。
昨日、荒北にアキちゃんという彼女がいることを遠回しに知り、動揺をしたものの、朝起きたら冷静になっていた。
なんて事はない。
昨日のはたぶん、あれだ。
自分の所にエサをもらいに来てた野良猫が、実はちゃんと飼い主のいる猫だった的な。そんなやつ。
そんな時って、自分の家で飼うことなんて考えてないクセに、ちょっとだけ寂しい気がするじゃん。
でもすぐに忘れちゃうんだ。ほらこんな風に。

チラッとオーダーを取る巧を見る。振り向いた巧と目が合う。
うん、嬉しい。
私も巧に飼われた元捨て猫。ちゃんと躾までされた立派な飼い猫。
暖かい家の中から窓の外を見て、自分では取れないネズミを捕まえようとする野良猫を見ているだけだ。

「すいませーん、注文、お願いしまーす!」
「はい!ただ今!」
小走りで呼ばれたテーブルへ行き、満面の笑顔でオーダーを取る。
ほら、いつもより調子がいい。
その日の沙織はいつもより輝いて、多くの男性客がその笑顔に見惚れた。
ただ巧だけは心配そうに沙織を見ていた。
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