第4章 インターハイ
、、、、
っつーか!!
「何で俺なんだよ!?」
思わず、荒北は背けていた顔を佳奈の方へ向ける。
「え?だって沙織ちゃんと友達でしょ?」
正面に不思議そうな表情の佳奈。
「友達なんかじゃねーよ!ボケナス!」
そう言って佳奈の頭をグシャグシャとした。
昨日の夜、なんか絶対に勝てとか言われたけど、俺は別にアイツの為に走るワケじゃねェんだ!
ってか、アイツが来てねーってことは、、、
「オイ、チビ眼鏡!テメェ、まさかこんな所まで1人で来たのか?」
「あ!違うよ!クラスの子と来たんだけど。そういえば皆、東堂くんを探しに行って、、、まだ探してるのかな?」
「尽八?アイツなら千葉の総北に用があるって言ってたなぁ。行ってみる?」
新開が答える。
「うん!行きたい!あ、、、でも新開くん、疲れてるよね?」
「俺は今日は何もしてないから平気さ!靖友も行くか?」
パワーバーをかじりながら、新開が荒北を誘った。
「いいよ、俺ァ。、、、今日はもう疲れた」
、、、それに俺がいたらジャマだろーが。
「2人で行ってらっしゃァい」
荒北は2人に背を向けてヒラヒラと手を振った。
タッ
ふと、その背中に小さく温かいものが触れた。
振り返ると佳奈がいた。
「荒北くん、今日はおつかれさま!カッコよかったよ!明日も頑張ってね!」
佳奈はキラキラとその瞳を輝かせて笑った。
あの日、皆が避ける中、荒北の修理した本を褒めたときのように。
あぁ、やっぱり。
俺ァ、この瞳にやられたんだ。
でも、、、
すぐに荒北は佳奈から目を逸らした。
「うっせー!今日の俺は、、、かっこ悪かったんだよ、、、」
「え?」
最後の方が小声になり佳奈には聞こえなかったらしい。
「とにかく褒めんな!!ウッゼーんだよ!」
「え?え?」
「岩元さん、気にしなさんな。あれは靖友なりの照れ隠しなのさ」
戸惑う佳奈の肩に手を添えて新開が微笑みかける。
だからイチャつくなっつってんだろーが!!
「新開うるせーぞ!早く行ってこい!!」
「それじゃ、行こっか」
「う、うん、、、」
去って行く2人を背に荒北は小さく息を吐いた。
チビ眼鏡、、、テメェこそもっと頑張れ。
本当にテメェはボケナスなんだからヨ。