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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第3章 夏は夜


彼女の入水は誰よりも静かで、まるで彼女自身が水に溶け込むようだった。そしてそのまま誰よりも長く潜水し、上がってきたと思えば、あっという間に2位を引き離した。その泳ぎは自由形にもかかわらず、ほとんど水しぶきを上げず、彼女はただゆったりとリラックスして、まるで水と遊んでいるように泳いだ。
そしてゴールをした一瞬、ガッツポーズとともにとびきりの笑顔を見せた。

これが、怪物?嘘だろ。
新開は静かに笑った。

彼女のタイムが出ると、再び凄まじい歓声が上がったが、彼女は笑顔1つ見せなかった。
静かにプールから上がり、ゴーグルとキャップを外して颯爽と戻っていく。
黒く長い髪と白い肌が水に濡れてキラキラと輝いた。

ゴクリ
思わず新開は生唾を飲んだ。


その後新開は彼女の姿が目に焼き付いて離れず、試合結果のことはあまり覚えていなかった。
ただ友人からインターハイにいくのは彼女だと聞き、後日1人でそのレースを見に行った。

しかしインターハイに彼女の姿はなかった。
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