第12章 AfterStory 隣の彼は返事をしない
分かってる。
アイツの辛そうな横顔も。
アイツの気持ちを試した自分のバカさ加減も。
痛いほど。
「、、、俺は口下手だ」
「は、、、?」
いきなりの告白に一瞬拍子抜けする俺。
「だが、お前は普段うるさい分、、、ちゃんとするべきだ」
「、、、分かってる」
あぁ、そうだな。
カッコなんか付けてる間に、初めっから、ちゃんと、もっと、その声を聞いて、話すべきだった。
悔しいが、全部コイツの言う通りだ。
「というか、普段はもう少し静かにするべきだ」
「ああ」
「練習中も喋りすぎだ」
「ああ」
「授業中もうるさい」
「ああ」
「あと食事中も喋りながら食べるのもやめた方がいい。汚い」
「ああ、、、そうだな。って、ハァ!?」
大人しく聞いてたケド、それ、今関係ある!!?
「冗談だ」
「は、、、冗談!?その顔で冗談ッ!?」
「分かりにくかったか?」
不思議そうに首を傾げる金城。
「分かりにくいどころじゃねェよ!全ッ然、1ミリも分かんねェっつーの!!」
「そうか、、、」
クソが、何、悲しそうに目とか伏せちゃってんの!?
今のに関しては俺、悪くないよねェ!?
「だが、、、」
伏せていた目を上げて金城はゆっくりと口を開いた。
「彼女に関することは冗談じゃない、、、もう二度目は無いと思え」
奴の低く鋭い声が耳に響く。
分かる。これは金城が本気の時に出す声だ。
「当たり前だ」
瞬きもせず獲物を見据えるような蛇みたいなその視線を、今度は睨みつけるように返した。