第12章 AfterStory 隣の彼は返事をしない
「ハァ、、、ッセ!」
荒北は金城サンの言葉に毒づくと、額の汗を拭った。
その瞳は鋭く私達を見据えている。
「あ、、、」
久しぶりにちゃんと目、見た、、、。
その瞳と目が合った瞬間、私は頭も胸もいっぱいになって、何も言葉が出なかった。
「っつか、ハァ、、、何でこんな草陰にいンだヨ。めちゃくちゃ探し回ったっつーの」
ザッ、、、
言いつつ荒北が歩を進める。
その度に私の心臓は大きく脈打った。
探してくれてたのか、、、
荒北の言葉にギュッと胸を掴まれる。
ザッ、、、
荒北が目の前にいる。
久しぶりにこんなに近くで見た顔は、すぐに目を逸らして私の横を通り過ぎようとした。
途端にズキンと痛む胸と思わず俯く視線。
地面に暗い陰が落ちた。
あぁ、やっぱり、、、。
もう私達は戻れないのだ。
溢れ落ちそうなものを隠そうと顔を伏せた時。
ポン、、、。
荒北は私の隣で静かに立ち止まると私の頭を何かで優しく叩き、
そして低く呟いた。
「テメェには後で大事な話があるから、そこでちょっと待ってろ」
「、、、! わっ、私も、話したいことある、、、待ってる!」
早く返事をしなければ。
そう焦って声が裏返ったからかもしれない。
過ぎ去る背中越しに見えた横顔がニヤリと笑った気がした。