第12章 AfterStory 隣の彼は返事をしない
付き合ってるって言えることって何だ?
それからの俺は、そんなことがずっと頭ん中をグルグル回ってた。
てっとり早ぇのは、、、まぁ言わなくたって分かるよな?
そういう事に興味がねェワケねェ。
だけど、そういう事をしたからって、この苦しくて痛い感じは無くなるのか?
いや、それ以前の問題だ。
例えば今、俺がそんなこと言い出したらコイツは驚いて、きっと断る。
「荒北、この授業取るナントカってサイト、使い方分かる?」
「バァカ、そんな事も分かんねェのかヨ」
なぁ、これがオッサンだったら、テメェは断らないのか?
ハ、、、ンナ事考えて俺はバカか?
「荒北、お腹減った」
「知るか!俺はテメェの母ちゃんじゃねェぞ、コラ」
なぁ、俺はテメェの何なんだ?
なぁ、せめて呼んでくれよ。
俺は、お前だから呼んでほしいって言ったんだぜ?
なぁ、そんな事自分から言うなんざ、初めてだったんだケド。
「荒北、ここ教えて」
「、、、ヤダ」
何が足りねェ?
何が不安だ?
「荒北、あのさ、、、」
「、、、知らねェ」
何にイラついてる?
コイツがそんなんなのは最初っから分かってただろーが。
そういうところも好きになったんじゃねェのかヨ?
「荒北、、、」
「、、、」
、、、何でこんなに辛ぇんだ?
それでも幸せだって、思ってただろーが。
付き合えただけで、
隣に居るだけで、
部活の話できるだけで、、、
「あのさ、私達って付き合ってる、でいいんだっけ?」
そんなことを不安そうな顔して言ってきたアイツを鼻で笑って、
「ハ!当たり前だろ。何寝ぼけたこと言ってんだ、バァーカ」
って言ったのはどこの誰だヨ。
「、、、だからテメェも俺のこと、名前で呼べよな」
「えー?下の名前?何だっけ?」
そうやってイタズラっぽく笑う顔が可愛くて、
「はぁ?靖友だ!や、す、と、も!!知らねェとかあり得ナイだろ!!」
ムカつくのに、嬉しくて、気恥ずかしくて。
ずっと見ていたいって思ったんだ。
細くなるアイツの瞳に
少し甘えたようなその声に
好きだって言われてるような気がしてたんだ。
「仕方ないじゃん!今まで呼んでなかったんだし」
本当は名前なんてどうでも良かったのに。
どうして俺は、、、