第12章 AfterStory 隣の彼は返事をしない
「可愛いだろーが!今年の1回生の中では1番だって入学式の時から噂になってんだ。そんな子に毎朝名前で呼ばれて、嫌な顔するなんて、、、っ。どういう了見なんだよ、コラァ!」
「あーもう、ウッセーなァ!俺は親と俺の認めた奴以外に名前で呼ばれるのは嫌なの!」
それと、、、アイツ以外は。
まだ1回も呼ばれたこと無いケド。
っつか俺は結構呼んでるンだけどな、、、。
「えぇ!何それ!」
「ってかちょっと待てよ?それってお前俺らのこと認めてないってこと?」
「ア?テメェらのどこに認められるようなトコがあんだヨ?」
俺はイイ顔で驚く2人を見て笑った。
「クーッ!ムカつく!こーなったら呼びまくってやる!靖友靖友靖友靖友靖友!!」
「ハッ!バァカ!!効かねェよ、ンなの」
コイツらのこういう所は嫌いじゃねェ。
ホントにバカで気が楽だ。
「っつか靖友、お前彼女いるんだよな?彼女どんな人?篠崎さんのこと、そこまでコケ落とすくらいだから、よっぽど可愛いんだろうな?」
「ア?可愛い、、、?」
俺はアイツの横顔を思い浮かべた。
サラサラの髪、その髪に透けて見える瞳。
後期試験に向けて図書室で勉強するアイツの隣で、居眠りするふりをして何度も見た、その真剣な横顔は、、、
「可愛いっつーか、、、アイツは強い奴だな」
答えながらニヤけそうになる口元を覆う。
思い出すだけで会いたくなった。
「何ソレ、まさか、、、ゴリラ?」
「一応、彼女さんのこと自慢してんだよな?」
「ア?当たり前だろーが。好きで付き合ってンだから」
たぶん今ごろ、アイツは必死に泳いでるから無理だケド。