第10章 冬はつとめて
「沙織ちゃんもきっと来るさ。彼女のことだ。どうせ寝坊してるだけだろう」
「ハッ!そうかもナ」
新開の言葉に少しだけ気が楽になった気がした。
「じゃ俺は泉田たちのとこに行ってくる。2人は適当に連れて行くよ」
「あぁ、頼んだ。東堂に言ったらウッセーからな」
「はは、オーケー!それじゃ」
そう言って軽い足取りで駆け出した新開を背中で見送った。
「荒北はどうしたんだ?」
東堂の高い声が聞こえる。
「やっぱり慕ってくれてる後輩なんかいないから、ここでクラスの友達を待つってさ」
「せっかくのめでたいことだと言うのに、どうしようもないな!ま、可哀想な荒北くんの代わりにこの俺が思い切り祝ってもらおう!それじゃ、さっそく行こうではないか!!」
「、、、バァーカ、聞こえてんだヨ、、、さっさと行けっての」
クソ新開、、、適当にってのはそういうんじゃねーよ、、、ったく
荒北は校門近くの木に自転車を立てかけると、そこに腰を下ろしてため息をついた。