第10章 冬はつとめて
合格発表日、当日。
校門には続々と、合否結果を見た3年生達がその結果報告をしに集まってきていた。
お互いの合格を喜び合いながら校舎へと向かう者。
1人、俯きながら歩く者。
そんな1人を見ながら、心配そうに見つめる者。
様々な中、荒北は、、、
キキーッ!!
自転車を全速力で漕いで、それを校門前で全速力で止め、
「受かったぞォォォォ!!コラァァァァア!!!!」
叫んだ。
「!!」
「ひゃっ!」
その咆哮に、近くにいた生徒達はビクッと肩を震わせたが、そんなことはどうでも良かった。
イライラと貧乏ゆすりをしながらPCに向き合い、何度も合格発表のページをクリックした。
すぐにアクセスできるように。
そして予定時刻ちょうどに発表を見て目を見開いた。
それから愛車に乗ってすっ飛んで来た。
一番に伝えたい奴がここにいるとは思っていなかったが、一刻も早く伝えたかった。
「ハァ、、、ハァ、、、」
荒北が短く溜息を吐こうとした時、
「荒北」
無表情な声とともに大きな手がその肩に置かれた。
「うわッ!」
突然のことにビクッと跳ねる背中。
振り返ると見慣れた仏頂面。
「なんだァ、、、福チャンじゃナイ」
ホッと安心した反面、沙織じゃないと気付いて思わず溜息が出た。
「受かったんだな」
「エッ?何で知ってんの?」
「今しがた、自分で叫んでただろう」
「あ、、、そーだった」
興奮で頭がおかしくなっているらしい。
思わず気の抜けた声が出た。