第10章 冬はつとめて
「そ、それはッ」
そーいうモンだろが!!
新開を払いのけながら言いかけた荒北の言葉は
「まぁ、というわけで!俺は佳奈と帰るから!靖友はちゃんと沙織ちゃんを送っていくんだぞ?」
という新開の言葉で遮られた。
「ハ、ハァ!?」
「え、ちょっと!!」
「あ、あの、新開くん!?」
驚く3人をよそに新開はサッと佳奈に駆け寄り、その肩に手を置いて言った。
「まあまあ佳奈。あんなに靖友は心配してたんだ。任せて大丈夫だよ」
「、、、」
佳奈は荒北と沙織を交互に見て少し考えて、
「それもそうだね!!」
と答えた。
「「ハァ!?」」
「荒北くん!沙織ちゃんをお願いね!」
「オイ!チビ眼鏡、テメェ何でそうなんだヨ!」
「そうだよ!佳奈!一緒に帰ろうって言ってたじゃん!」
「だって荒北くん、ホントはお昼休みに会いたかったんでしょ?」
「、、、ッ!!」
そ、そこも聞かれてたァ!!?
佳奈の言葉に悶絶して仰け反る荒北と、
「それに沙織ちゃんも嬉しそうに差し入れ食べてたでしょ?ちゃんとお礼言わなきゃ!」
「、、、ッ」
目を押さえて天を仰ぐ沙織。
2人とも何の悪気もなく笑う佳奈を責める気にはなれず、
「それじゃ2人とも!仲良く帰れよ!」
佳奈を連れ立ってヒラヒラと手を振った新開を睨みつけながら、ただ黙ってその背中を見送った。