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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第9章 break time④ 文学少女と荒くれ図書委員


秋も深まって、少しずつ冬の風が吹き始めた頃。


荒北先輩は貸出係に来なくなった。


そりゃそうだ。
3年生は受験に向けての特別授業が始まり、夕方近くまで勉強勉強のオンパレード。



「、、、はぁ」


分かってる。
寂しいなんて思ったって仕方がない。



「何?夏子、ため息なんかついて」

「何何?恋の悩み?」

「そういえば最近図書室に行くのも嬉しそうじゃないよね?」

「、、、それが、、、」





「えぇー!?荒北先輩のことが好、、、っ!!」

「ちょっ!ちょっと声が大きい!」

「ごめん笑。で、最近会えなくて寂しいと」

「うん、、、」

「ふむふむ、、、それは」

ニヤリと顔を見合わせる2人に悪い予感。

「それは会いに行くっきゃないっしょ」

「無理だよっ!!」


ニヤリと笑う2人に即答する私。


「なんで?」

「会いたいんでしょ?」

「そうだけど、、、うー」

そうだけど、私は先輩にとってはきっと
本を借りに来るオタクな後輩としか見られてないし、、、
図書室以外では話したことも会ったことすらない。


「このまま卒業しちゃってもいいの?」

「それは、、、やだ」

「じゃあ行くしかないっしょ!」

「でもいきなり行って何を話せば、、、」

「そんなの、奇遇ですね!勉強はどうですか〜?とか、図書室にもたまには来てくださいよ〜寂しいじゃないですか〜とか?」

「えぇ〜」

そんなに上手く口が回るなら苦労はしてないんだけど、、、

「もういっそ告白しちゃえば?」

「む、、、無理無理無理無理!」

「まぁとりあえず行くよっ!」

「えっ?あ、ちょっと、もう!?まだ心の準備が、、、」

「ほらほらー」


2人に引っ張られて着いたのは3年生の教室がある階で。


「は、初めて来た。き、緊張する、、、」

「大丈夫大丈夫!とりあえず今日はきっかけ作ればいいんだから!」

「ほら!行った行った!」

ドン!と背中を押されて前のめりに歩き出す。


キョロキョロと周りを見回す姿は我ながら滑稽だ。



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