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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第9章 break time④ 文学少女と荒くれ図書委員


落ち着かない気分でキョロキョロしていると、ふとテープの横に置かれている赤色の本が目に入った。



洋南大学。



誰もが知る大学名が書かれた分厚いそれにはペンが挟まれてあった。


、、、勉強、してたんだ、、、。



「、、、」




ジー、、、ペタ。



私たち2人だけしかいない図書室には荒北先輩がテープを取って貼る音だけが響いて、とてもとても静かだった。





「、、、ホラよ」


その声にハッとした。
静かなこの部屋が心地よくボーッとしている間に、ページの修復は終わっていたらしい。


手渡された本を見ると、シワなく綺麗にテープが貼られていた。


「ったくよォ、、、人の仕事増やしやがって。今日入ってきたばっかでどうやったら破れるンだっつーの!」



ボヤかれたその言葉には先輩の怒りが込められていたけれど、不思議と私は恐怖を感じなかった。


それどころか、、、



「今日、入ってきたの知ってたんですか?」

「ハァ?そりゃ一応そういう係だしな。面倒くせェケド聞かれたら案内しなきゃなんねーし」

「ふふっ」


一体誰がこの人に本の在り処を聞いたりするんだろう?


「アァ?何笑ってンだヨ。気持ちわりッ。っつーかそれ借りンだろ?借りるならここに、、、」

「いえ!ここで読んでいきます!」






彼が発する言葉1つ1つに私の胸は温かくなって、私はもっとこの静かな空間に居たいと思った。






それが、私と荒北先輩の出会いだった。




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