第8章 秋は夕暮れ②
「ぷっ!」
荒北の必死の反論に沙織はもう我慢できないという様子で吹き出した。
「あははは!」
そして
楽しそうに笑う、
そんな沙織を見て荒北は大げさに溜息をついて肩を落とした。
「ハァ〜。、、、やっぱ心配とかすんじゃなかったぜ」
そんな荒北の背中を沙織はバシバシと叩いた。
「これからも期待してるよ、荒北くん!」
荒北は腕の間から恨めしそうに沙織を見て、疲れたように呟いた。
「、、、ネタじゃなかったら、いつまででもいてやンのによォ、、、」
「ん?何?」
不思議そうに首を傾げる沙織。
その顔は、、、ちょっと可愛い。
そう思うと更に恨めしさが増して、荒北はさっきよりも大きく溜息をついた。
「ハァ〜。だーもう、わーったヨ!いてやンヨ!テメェの好きなだけ、テメェの隣によォ!、、、勝手にしろ、クソ女!」
「よろしい!」
そう偉そうに言った後、白い歯を見せてニカッと笑う沙織。
その心底嬉しそうな笑顔を見た時、
たとえその笑顔の理由が自分の顔であったとしても、
そんなに悪くねェかもナ。
などと一瞬でも思ってしまった自分のことをつくづくバカだと思った荒北は、再び大きな溜息をつくのだった。