第8章 秋は夕暮れ②
「ハ、、、ハァ!?今のはナシだろッ!!オカシくナイ!?ナァ!?」
我に返った荒北は巧に詰め寄った。
「ダ、メ」
巧はニッコリと笑って答えた。
「ンなっ!!、、、、ッ!」
荒北は頭を抱えてテーブルに頭をぶつけた。
「あの、、、えっと、、、荒北?」
テーブルにうなだれる荒北の肩に沙織は恐る恐る手を置いた。
その瞬間、荒北はピクッと跳ね起きた。
「クッソ!テメェ、このバカ!!何であのタイミングで入ってきてンだヨ!!もうチョットだったんだヨ!それを、、、何だあのバカみてェにデカイ声はッッ!!」
沙織は一瞬ひるんだものの、すぐに口を開いた。
「、、、ッ!はぁ!?何だそれ、自分が負けたのを人のせいにして八つ当たりしてんじゃねーよ!!私はただ少しでも元気をだそうと思ったんだよ!それをバカっつーたか!?ふざけんな!そんなことで気が散るアンタの方がバカだろーが!!」
「アァ!?八つ当たりじゃねーヨ!マジでもうちょっとだったんだけどォ!!」
「だからどうしたってんだよ!実際負けてんじゃん!ド派手な音立てて!バッチリ見てたから!あーダッセ!!」
「ハァ!?テメェ、俺が一体誰のために、、、」
荒北が言いかけた時
「ぷっ!」
巧が笑った。
「あははは!もう、やめて、、、ふぅー」
目に涙を浮かべながら腹を押さえる巧は苦しそうだ。
「テメェ、コラ!何笑ってんだよ!テメェが卑怯な手使わなきゃ、、、」
荒北は巧に掴みかかろうとしたが、その肩を沙織が止めた。
「、、、、」
沙織は口を固く結んでいる。
その表情に荒北は落ち着きを取り戻した。
目の前の巧は相変わらず苦しそうに笑っている。
荒北は奥歯をギリリと噛み締めた。