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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第8章 秋は夕暮れ②


『あ、話の途中ですみません。私は彼女のバイト先で店長をしている者です』



『は?バイト?妹からそんな話は聞いていませんが。どのような店ですか?どうせ大した仕事じゃないんでしょ?』


彼女に似た鋭い目で迫られて一瞬怯みそうになった。
でも彼女に向けられた侮蔑的な視線だけは許せなかった。



『確かに私は学のない人間です。仕事も人に誇れるようなものじゃない。しかし彼女は違います。彼女は真面目な働き手です。まだ働き始めて3ヶ月ほどですが、彼女にできない仕事はない。それに学校だって私が知る限りは休んだこともありません。成績も優秀ですよ。』



『、、、沙織、高校に入って男を味方にすることも覚えたの?』



一回り以上も年上の僕を目の前にしても彼女の兄は嫌味だった。



『彼女とは何もありませんよ。ただ彼女の上司として評価をしているまでです。』



『そうですか。でも今日実際に学校を休んでいた。本当はいつもそうなんじゃないんですか?』



『それは貴方と会いたくなかったからなんじゃないでしょうか?』



できるだけにこやかに答えたつもりだった。



『、、、っ。まぁ、出席日数なんて成績表を見れば分かることです。いいか、沙織。いい加減な成績で通い続けられるほど、うちの家は甘くないからな』



『ご心配なく。彼女はバイトをしながらでもちゃんとテストでも良い成績を取っていますよ』




『ふん、、、』




お兄さんは彼女を一瞥して去っていった。









『、、、、』


『店長、私できない仕事、まだまだあるけど?』



こっそりと沙織が背中越しに顔を覗かせたのが分かった。



『まぁ、これから覚えればいい』



『それに店長には成績を見せたことないはずだけど?』



『そんなに悪くないだろう?』



『、、、中間試験、ほぼ赤点だったけど、、、』



『、、、まぁ、期末で巻き返してよ』



『期末、、、明後日からだけど??』



『へ、、、?』



困り顔で背中の方に視線を向けると、眉毛を下げた彼女と目が合った。



『、、、ぷ!』


『ぷは、、、っ』




その瞬間、2人して吹き出した。


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