第8章 秋は夕暮れ②
『っ!!』
ダッと突然彼女が駆け出した。というよりも逃げられた感じ。
『あ!こら!』
逃げられたら追いかけるしかないじゃない?笑
だけど沙織は足が速くて。
大変だった。
彼女にやっと追いついたのはしばらく走った後だった。
彼女が突然止まったんだ。
『?』
固まる彼女の視線の先を追うと、そこにはなんていうか、これぞまさにな感じのイケメンがいた。
『沙織。やっと見つけた』
イケメンは怒っているように彼女の名前を呼んだ。
えっと、、、彼氏いたんだ。
痴話喧嘩か何かか。
そう思った。
『学校に行ったら来てないって言うし、寮に行っても不在って、、、』
今どきの彼氏は寮にまで行くのか。
すごいな。
『そんなだから箱学とか大して学力高くない学校に行くことになるんだよ』
?
『、、、うっせーよ』
??
低い声でそう言った彼女の顔は、初めて会った時のようで。
『またそんな口の聞き方して、、、。そんなだから母さんも心配して、、、』
『心配?ハァ?アイツが会いにきたことでもあんのかよ。こんな風に鬱陶しい兄貴ばっかり寄越しやがって』
彼女の声が大きくなった。
お兄さん、、、?
『なぁ、知ってんだって。本当は私になんか興味ないんだろ?』
彼女は不敵に笑った。
だけど僕には、毛を逆立てる猫に見えた。
『そんなこと、、、!どうせ学校も行ってないんだろ?それでも学費を払い続けてるのは誰だと思ってんだよ!』
『は?それで心配してるって?別に卒業させてくれなんて頼んでねーよ!学校だっていつ辞めたって、、、』
『ちょ、ちょっと待って!!』
まただった。
これ以上関わらない。
そう決めていたのに、止めることができなかった。
『店長、、、』
『店長?えっと、誰ですか?』
お兄さんに睨まれた。
その目は彼女に似ている。