第8章 秋は夕暮れ②
「ぷっ!」
荒北は真剣だった。
真剣に沙織とヨリを戻すようにとまくし立てた。
なのに
「あはははは!!あー!苦しい!!」
目の前でその相手は、こんなに可笑しいことはないという風に笑いだした。
「!!、、、ハァ!?」
荒北は驚いて思わず後ずさった。
「荒北くん、君ってやっぱり、、、くく。」
首元を解放された巧は涙目になって目を拭った。
「テメェ!コラァ!何笑ってンだヨ!?」
こんな反応が返ってくるとは思わなかった。
「、、、いや、僕は君のことを見下してたつもりはなかったんだ、勘違いさせたかな?たしかに沙織は君のことブスだって言ってよく笑ってたけど、、、ぷぷっ。僕は君のことカッコいいと思ってるよ」
「アァ!??」
あンの金髪女!俺のことブスとか言って笑ってたのかヨ!
つーかコイツ、結局アイツのこと名前で呼んじまってンじゃナァイ!!
っつーかコイツ、俺のことカッコいいって言ったァ、、、!?
、、、ハァ!!?褒めてンじゃねェエ!!!
っっっつーかァ!!!
「俺が言いてェのはソコじゃないんだけどォ!?そっちじゃなくてェ!!アイツとヨリ戻せって話だヨ!!」
荒北は唾を飛ばす勢いで巧に詰め寄った。
しかしそれでも巧は笑っていた。
「あ、はは、、、そっか、そうだったね。ハァ、、、」
「くぉらァ!笑い疲れてンじゃねェヨ!」
荒北の吊り上がった眉毛が更につり上がる。
「はは、ごめんね。」
巧は困ったように笑った。
チッ!コイツと話してると、、、マジになってる自分がバカらしくなってきたゼ、、、。
「チッ!ごめんね、じゃねンだヨ、、、」
荒北は巧を睨みつけた。
ようやく落ち着いた巧もスッと真面目な顔になった。
そして大きな瞳で荒北を見た。
「そうだね、、、だけどやっぱりごめん。僕はもうヨリを戻す気は無いんだよ」
ヘラヘラしてるかと思ったら、巧はふいにこういう表情になる。
荒北はそんな巧のことが苦手だと思った。